六月の最初の週末は宏臣の結婚式だった。披露宴に出席した。
ちなみに宏臣からは招待状を受けとるときに謝罪を受けている。年末に酔った勢いで迫ってきた件について、潮崎くんがうるさく言ったらしい。名取に謝るまでお前とは絶交だとかなんとか。
そんなこともあって、宏臣の態度はよそよそしさを感じる程に改善されていた。
披露宴がお開きとなり、このあとどうするか友人たちと集まっているところで先だっての件を思いだして、潮崎くん、潮崎くん、と私は彼を手招きした。
「宏臣に言ってくれたんだってね。ありがとう」
「なんのこと」
潮崎くんは私を直視せずに視線を泳がせている。
「うん、まあ、私が勝手に潮崎くんにありがとうって思っただけなんだ。あのことは私ももう気にしてなくて、平気だから」
「そう」
潮崎くんは私が苦手なのだと思う。いつも私に一定の距離を置いて接している。間がもたなくなるのがわかるから、じゃあ、と私のほうから話を切りあげようとした。
「あの」
「え?」
呼び止めておいて、潮崎くんは言いよどんでいる。なにを躊躇っているのか知らないけれど、私より格段に頭の切れるこの人に向かって、話してみろと促すのも気が引けて、そのまま待ってみた。
けれども潮崎くんの用件を聞くことはなかった。
軽く肩を叩かれ、振り返ったそこに岸さんがいたから。
ちなみに宏臣からは招待状を受けとるときに謝罪を受けている。年末に酔った勢いで迫ってきた件について、潮崎くんがうるさく言ったらしい。名取に謝るまでお前とは絶交だとかなんとか。
そんなこともあって、宏臣の態度はよそよそしさを感じる程に改善されていた。
披露宴がお開きとなり、このあとどうするか友人たちと集まっているところで先だっての件を思いだして、潮崎くん、潮崎くん、と私は彼を手招きした。
「宏臣に言ってくれたんだってね。ありがとう」
「なんのこと」
潮崎くんは私を直視せずに視線を泳がせている。
「うん、まあ、私が勝手に潮崎くんにありがとうって思っただけなんだ。あのことは私ももう気にしてなくて、平気だから」
「そう」
潮崎くんは私が苦手なのだと思う。いつも私に一定の距離を置いて接している。間がもたなくなるのがわかるから、じゃあ、と私のほうから話を切りあげようとした。
「あの」
「え?」
呼び止めておいて、潮崎くんは言いよどんでいる。なにを躊躇っているのか知らないけれど、私より格段に頭の切れるこの人に向かって、話してみろと促すのも気が引けて、そのまま待ってみた。
けれども潮崎くんの用件を聞くことはなかった。
軽く肩を叩かれ、振り返ったそこに岸さんがいたから。

