起きると朝だった。
 隣の岸さんの寝顔を堪能して、起こさないようにベッドを抜けだして暖房を入れ、身支度を整える。
 メイクを済ませたところで、おはようと声が聞こえた。


「おはようございます。今日なんですけど、考えたんですが朝は別々に出社したほうがいいですよね。途中まで一緒に行って、私を先に降ろしてもらって……」

「今日なにかあるの」

「平日ですよね。仕事」

「年内のは納めたけど、そっちは休日出勤入ってた?」

 昨日が年内最終日だったことに思い当たる。
 今日から休みだった……。
 起きて忙しなく動く私を、岸さんは布団からずっと眺めていたらしい。

「声掛けてくれればいいのに」

「そっちこそ人の寝顔見てただろ」

「それは見ていたかったからで。……いけなかったですか?」

 岸さんのほうが返しに困っている。勝った、と思った。