冒険者の王子は 旅と恋する


「はい。お疲れさまでした。」

ギルドで依頼完了をもらう。

おねーさんは隣に立つフィロスと精霊様を見てるけど、
完了した冒険者は、俺ってば。

依頼金を換金して、フィロスに渡す。

「冒険者登録できないからなぁ。フィロスは。
 ま、好きに使ってよ。」
「チェース君。信用しすぎは困りますよ。」

フィロスは、やれやれと言いながらお金をしまう。
これでも、「元犯罪者」というステータスのフィロス。
冒険者登録にもいろいろ支障がでるからなぁ。

「魔力回路つなげてるのに、裏切るとか、
 そんなんできないし。」

宿に入ると、下のロビーで ジョイルが待ってい居た。

「あー、ジョイル早いなぁ。」

軽く合図して、宿の主人からカギを受け取る。
三人一部屋。
フィロスがカギを受け取り自然にエスコートをする。
部屋に入ると、ベッドが四つに中央にはシンプルな机という
ざ・宿屋だな。

フィロスの肩に乗っていた精霊様がぴょーんとベッドに飛び乗る
ぐるぐるして、ぽふんと丸くなる。かわいいな。

「チェースとフィロスさまは、領主家の草むしりでしたっけ?
 こちらは、他のBランク冒険者のサポートで、
 魔獣を何匹かと素材採取ですね。ほかにめぼしい依頼は
 特にありませんねぇ。」
「おっけ。んじゃ、明日には別の町に行こうか。
 領主の庭には、一応「光の浄化」の魔法を仕込んどいた。
 あのジョイルに作ってもらった「雨に触れたら溶ける結界」に
 包んだから、時間差で広がると思うよ。」

まぁ、俺の正体を知った領主様から手厚いもてなしを受けそうだったけど
今は「冒険者としてやってるから、気にするな」と押し通した。

ちなみに、ウルーチェ先生からは、「好きにしろ」という命令を受けましたので、好きに冒険者として依頼を受けにきて、ちょうど領主邸の草むしりが依頼にあったってわけだ。

「しかし、チェース君。光の浄化って・・・
 結構複雑な術ですけど、こっそりかけてよかったんですか?
 目立ちませんか?」

「発動するときの一瞬の輝きだから大丈夫だろ。
 浄化の術しなくてもよかったけどさぁ。
 ラディゴールの実家だしなぁと思ってさぁ。
 フィロスは気が付かなかった?屋敷の後ろのほうから黒っぽいもやもや―ッとしたの。
 多分、名家だからいろいろ恨まれたりやっかみもあるんだろうなぁ。
 ほっといても大丈夫な奴だけど、ま、ついでだな。」

「あぁ、貴族の屋敷には多いですよね。
 ひとの悪意が集まる呪い。」

ジョイルが納得したようにうなずきながら、
装備を外す。

「ジョイル君もお疲れさまでした。」

フィロスが要領よく食事を用意する。
サンドイッチと、ハンバーガーの間みたいなやつ。

「あっ、えぇと、フィロス様。
 よければこれをと思いまして。 」

ジョイルが取り出したのは、シンプルな布っぽい帽子だ。
ターバンみたいな。
おお。さすがジョイル。気が利くな。

「ありがとうございますジョイル君。
 さっそく、使わせていただきますね。」

二人が仲良くなっているようで、何よりだよ。