「ちょっと真司、その言い方は」
「聡美は黙ってて」


言い返してやろうと思ったのに、二人の空気が許してくれなかった。


「行動しなかったのは俺だし、自業自得だってわかってるけどさ。このまま奪われるのは納得いかないんだわ」


冗談で言っているようには見えない。
だからこそ、何も言えなかった。


「だからさ。俺と勝負してよ。俺が勝ったら、聡美は返してもらう」
「それは別に構わないけど……聡美ちゃんの気持ちが大事じゃない?」


それもそうだ。
いくら真司が勝ったとしても、私が悠之介を好きだという気持ちは変わらない。


真司には申し訳ないけど、これはやるだけ無駄な気がする。


「……随分と上から言うんだな。聡美に好かれてるって自信があるからか?」


何を言っても、真司には響いていない。
むしろ、真司を傷付けているような気分になってくる。


「わかった。何するの?」
「制限時間内に、聡美へのプレゼントを買ってくる。より聡美を喜ばせたほうの勝ち」


とても簡単なゲームだけど、平等性に欠けると思った。


真司には悪いけど、悠之介にプレゼントされるならなんでも嬉しいし。
やる前から結果は見えていると思う。


「負けたほうが聡美ちゃんから手を引くってことだね?」


悠之介が確認すると、真司は挑発的な笑みを浮かべた。


「悠之介……」