圭吾君と笑っていると、事務所のドアを聖夜がドンドンたたいた。


そうだ。



事務所の部屋の鍵を掛けたのを、すっかり忘れてました。


「鍵を掛けて二人で何してる。開けろ。」



「ほらほら、嫉妬した彼が早速来ましたよ。」


本当に短気なんだから。



「聖夜そんなにドア叩いたら壊れるって。」



鍵を開けると聖夜が飛び込んで来た。



「鍵掛けて、二人で何してた訳。」



「それは、秘密ですよね、店長。」



圭吾君がそう言ったから、私も秘密と笑った。


聖夜の機嫌が、益々悪くなった。



「美莉、何してた。 俺には言えないような事なのか。」



本当にバカなんだから。



めんどくさい男は嫌われるよ。



「美莉、俺は別れないから。」



聖夜がいきなり、圭吾君のいる前で抱き締めた。



圭吾君がいるのに、恥ずかしいよ。



「俺には美莉が必要なんだ。美莉は俺が必要ではないかも知れないけど、必ずそう思わせるから。別れるなんて言わないでほしい。」



どうして、聖夜が泣くのよ。



泣きたいのは私なのに。



泣き虫、聖夜のバカたれが。



「私ね、今気付いたの。聖夜が好きな事。」



聖夜の涙が止まった。



「え、どういう事。 美莉は本当に俺が好きなんだな。」



さっきまで落ち込んでいた聖夜の顔が、急に明るくなった。



本当にげんきんな奴。



「今は仕事中なので、お二人さん仕事して下さいね。」



はい、了解しました。



嫌がる聖夜を無理矢理、事務所から連れ出した。


圭吾君が良かったですねと、耳元で呟く。


圭吾君、ありがとうございます。


聖夜のことで、もう迷惑はかけませんから。