圭吾君に仕事を教えてほしいと目で訴えてみたが。



「店長、聖夜の事は気にしなくていいですよ。彼は口は悪くても、仕事はしっかりこなしますから、心配しないで下さい。」



大人な圭吾君の発言に納得しつつ、聖夜の事は苦手なガキとしか思えない。



「聖夜、百合ちゃんと佳奈ちゃんの昼の交代に入って。」



「今日は土曜日なので、8時から16時まで二人に働いてもらってます。休憩は一時間、交代は俺か店長で入りますが、今日聖夜に頼みました。」



聖夜、一人で大丈夫なのか心配になった。



「店長には、みんなのシフトも組んでもら事になりますが、一度にはやれませんから、一つづつ覚えて下さい。」



優しい口調で話す、圭吾君。



「すみません。自慢する事でもはないんですが、今まで働いたことがないんです。」



今度は圭吾君が驚いた。



そうですよね、30才の女が一度も働いた事がないなんて、引かれても仕方ない。



好きで働かずにいたわけでなくて、私に合う仕事を探していたら、30才になってしまったと言うか。



言い訳させてほしい。



「働かなくても困らなかった訳ですからね。社長はこのままでは、あなたの為にならないと思ったようですね。これを機会に働くのもいいと思います。」



圭吾君、やはりあなたは大人です。



あなたに何処までもついて行きますから。



父さんの思いにも答えたいし、今回は辞めることは諦めようと思った。



コンビニの仕事が出来るかは分からないけど、少しだけ頑張ってみよう。



圭吾君と一緒なら頑張れるような気がしたから。



圭吾君、これからもよろしくお願いします。



父さんがこの店を圭吾君に任せた気持ちが、なんとなくだけど分かるような気がした。