父が左側にいた男子から紹介しだした。



「彼は竹中圭吾君23才。この店の全てを任せてるから、後から色々教えてもらうといい。大学二年生の村井和人君20才。夜から朝にかけて働いてくれてる。」



「もう一人が専門学生の天野聖夜君18才。土日と平日は夕方が多いかな。」



そんなに覚えられない。



ノートを出して、名前を書こうとしたら、誰かがバカにしたように笑った。



「後は高校生の女の子二人と、朝から昼までいる、オバチャンが二人。美莉、しっかり顔と名前覚えろよ。」



ちょっと待って、もう少し、ゆっくり名前を言ってよ。



人の名前と顔を覚えるのが、超苦手。



「俺は来月オープンする店の様子を見てくるから、美莉、後頼む。」



そう言って出て行く父。



一人残されてどうすればいい訳。



「その服どうにかならない。コンビニで仕事するのに、ミニスカートとブーツはあり得ない。」



そう言ったのは18才の天野聖夜。



何故か彼の顔と名前は直ぐに覚えた。



そうこれが彼との最悪な出会い。



「いい年して恥ずかしくないのか。若作りな格好をして、あんた30才でしょ。年相応の服を着た方がいいよ。」



そりゃ若作りしてますけど、そこまで言われたくない。


やっぱ、この天野は天敵だ。


絶対関わりたくなかったのに。


仕事を覚える事から始めたくて圭吾君を探したが、近くには聖夜しかいない。



聖夜の挑戦的な態度に顔を背けた。


なんで、そんな態度なんですか。


聖夜より年上だし、社長の娘なんだし、そんな態度をとれるのも今のうちだけだから。


聖夜、絶対くびにしてやる。



ふん、私をバカにしたら、許さないからね。