聖夜が連れて来てくれたのは、あまり見た目綺麗でないラーメン屋さん。



だけど、このお店のラーメンがすごく美味しくて。



「聖夜、うまいよ。」



「美莉、女はうまいじゃなくて、美味しいと言え。」


「いいじゃん。同じ意味だし。」


「聖夜が彼女連れてくるなんて珍しいな。」



「親父、こいつは彼女じゃねぇよ。バイト先のコンビニの店長。」



「親父? 」



「親父って、俺が勝手に呼んでるだけ。俺が荒れてる時助けてくれた人だよ。死のうとした俺を、救ってくれた命の恩人ってとこかな。」



ラーメン屋のオジサン、博司さんが笑っていた。



「店の前にこいつが倒れてて、どうした?って聞いたら腹減ったには、笑えたね。ラーメン食わしてやったら、ここに居着いてしまってさ。聖夜が子供みたいに思えて、それからずっと一緒に暮らしてた。」



聖夜を助けてくれた人。



ありがとうと言いたくなった。



「だけど、こいつ死のうとしやがって、思い切り殴ってやった。」



「親父、その話は止めてくれよ。」



怒りながらそう言う聖夜の顔は、嬉しそうだった。


聖夜には、博司さんがいるから大丈夫。


本当の親には愛情を注いで貰えなかったけど、博司さんが愛情持って、聖夜を大切にしてくれた。



その事が自分の事のように嬉しかった。


この気持ちは何なのか、知るのが怖い。



聖夜は、12才年下の可愛い弟。



そう思う事にしよう。



聖夜に恋するなんてあり得ないし、12才年下は絶対無理。