田中君が聖夜の後輩で、しかも同じ柔道部だったなんて。



聖夜が柔道やってただなんて、信じられない。



知らない事が多すぎる。



23時に聖夜とコンビニを出て、マンションへ帰った。



お風呂に入る元気もない。



「美莉、風呂に入らないと疲れが取れないぞ。」


だって、無理。



このまま寝たい。



やだってば。



聖夜に担がれて、お風呂場に連れて行かれた。



「風呂はいいから、一緒にシャワーあびるぞ。」



分かったから、シャワー浴びるのは私一人がいい。



聖夜を無理矢理、お風呂場から追い出した。



はぁ、疲れた。



シャワーを浴びたのはいいけど、着替えを忘れた。



「美莉入るぞ。」


だから、駄目だって。



「今さら恥ずかしがる事ないだろ。」



聖夜は裸のまま、私の横を通り過ぎた。



「美莉、バスローブ置いてあるから。」



ありがとうじゃないわ。



絶対、聖夜に流されてる。



その日、聖夜は私を抱き締めて眠った。


暑苦しいと思ったけど、心地よい眠りに誘われて。


気がつくともう朝で、聖夜が作った朝食を二人で食べ、慌ただしくコンビニへ向うと、圭吾君は4時からの出勤で、お店前のゴミを片付けていた。



「圭吾君、ゴミは私が片付けるから、中をお願いします。」



「美莉がゴミを片付けるだなんて、本当に驚いたよ。美莉が頑張ってるのは本当だったな。」



え、何で父さんがいるのよ。



今日は忙しくなるから、様子を見にきたらしい。



一年で、売り上げりが一番伸びるのだと言った。



「店長、忘れてました。中学の体育大会にお年寄りが招待されて来るんですが、そのお弁当が追加になりまして、俺が中学まで運びますから。」



え、そうなの。



大変だわ。



お弁当の数は大丈夫なの。



「美莉、新店の弁当をこっちに運ぶから心配はいらない。圭吾君が夜に連絡くれたから助かったよ。」



圭吾君、ありがとう。



「俺じゃなくて、聖夜が気転をきかしてくれなんですよ。」



私は何も知らないよ。



「店長、あのメモ見なかったんですか。」


あのメモって、どのメモ。



あ、そういえば事務所の壁にメモが貼ってあったのを見落とした。



はぁ、駄目だ。



「美莉、一人で頑張らなくてもいいんだよ。回りが助けてくれるからな。」



本当に、名ばかりの店長でごめんなさい。



9時過ぎに、圭吾君が中学にお弁当を届けに行った。


あれ、聖夜がいない。


お店の外で千春さんと話しているのが見えた。



え、千春さんが聖夜にキスしてる。



見てはいけないものを、見てしまったような。


落ち着かなきゃ。



「店長、見て見ぬふりですか。」



百合ちゃん。



そうだった。



百合ちゃんも今日は早く出勤してくれていたのだ。



「あの女、かなりひつこいんですよ。聖夜は嫌がってますけどね。」



聖夜が千春さんを突き飛ばしていた。



ちょっと、聖夜、相手は女の子なんだから。



おもてに出ていくと、聖夜の怒鳴り声が聞こえた。



「俺に触れていいのは美莉だけだから。千春は帰っていいよ。バイトはなしな。」


聖夜。



聖夜は私を見つけると、千春さんに言った。


「悪いけど、千春には魅力を感じないんだよ。俺が抱きたい女は美莉だけだ。」



嬉しいけど、恥ずかし過ぎる。



多分、顔がまっかだ。



聖夜に近づくと、抱き締められてしまう。



そして、美莉、消毒してと唇を私に向ける。



だから、思いきり熱いキスをお見舞いしてあげた。



私だって、やるときはやるんだからね。



オバサンだって、負けてはいられない。


又、自分でオバサンを認めてしまった。