「別に、何もしてない。・・・ていうか寝ときな。体悪いんでしょ」

「みず・・・」

「・・・水。はい、水」

「へへ・・・ありがとう」



水欲しかったなら早く言えよ!って、また俺の一人ノリツッコミ。

長瀬が持ってたペットボトルの水を渡すと、本当に少し・・・一瞬だけ、微笑んだ。



「・・・ありがとうしか言わないな」

「ん・・・きぃくんはごめんねしか言わないね」

「・・・え」


俺そんな、ごめんごめん言ったかな。

それも出逢ったばかりの転校生相手に。


分かんないの?って言いたげな白石凜の表情から目を離すのが怖くて、言葉に詰まった。



「ずっと、ごめんって・・・言ってたよ。わたしに近づいたときも、触れたときも」

「多分、無意識。・・・だと思う」

「そっか」


言ったような気もするし、言ってないような気もする。


そんな事よりも、あんなに苦しんでる中でも俺の言葉をちゃんと聞いてるんだな・・・って、そんな思いが強かった。


俺とこの子の会話が聞こえたのか、カーテンが開く音がして、振り返るとそこには保健の先生が立っていた。

ていうかこの人居るし俺いらないじゃん。普通に考えて。


よし、あとは任せた・・・って言いたいところだけど



目の前の彼女が、俯いて・・・布団を握りしめて震えていたから


・・・動けるわけ、なかった。