「言ったはずだけど。お前は俺の・・・」

「俺にも夢が出来たから」



それを受け取らずに圧をかけてくる彼の言葉を遮った。


真っ直ぐに目を見つめて、怯えることなく思いを伝える。


・・・彼の瞳が一瞬、揺れた気がした。



「・・・もう志望校も決めたし、願書も出した。受かるかは分かんないけど・・・俺は父さんと同じ道には進まない」



俺の夢は、父さんと母さんがくれた夢でもある。


自分の経験を生かせるか・・・

うまくやっていけるか・・・

誰かのためになれるのか・・・



不安は山のようにあるけれど、俺はもうぶれない。


・・・いつか居なくなる凜を想いながら、彼女を忘れないように。


そして、両親を忘れないように・・・


俺が導き出した、俺だけの夢。



「お前はそれになって何が出来る?言っただろ、お前に誰かを幸せには出来ない」

「幸せになるかならないかは俺が決めることじゃない」



その人が決めることだ。