「・・・あ、あとこれ。凜に」

「んー?」

「・・・・・・鶴」



恐る恐るカバンからそれを出してテーブルの上に置くと、一瞬辺りが静まり返った。


・・・うん、まぁ、そうだよね。

急に折り鶴置かれたらそうなるよね!


あの凜ですら、それを見つめて瞬きを繰り返している。



「・・・これ、ゆーちゃん、から?」

「・・・ごめん、名前分かんない。俺の隣の席の、髪短めの人」



名前分かんないってヤバいな、って蒼が呟く。


その "ゆーちゃん" が俺には分かんないけど、凜は鶴を手に取って俺に言った。



「それ、ゆーちゃん・・・黒木優って、お名前。きぃくんと、一緒の・・・優しいって、字」



折り紙が好きな子なの、って。

高3で折り紙が好きってだいぶクセ強いな・・・って思ったけど言わなかった。