「学校お疲れさま。元気ねぇ、ふふ・・・走らないでくださーい」



・・・なんて見慣れた看護師に笑われる昂生を見ながら、俺と蒼はその後ろを歩く。


あ、ちなみに妃菜は俺を待ってくれなくて先にココに向かってしまったから別々。

愛だなぁ・・・なんてしみじみ呟いていた昂生を思い出して、笑えた。



ガラガラガラッ・・・


病室のドアを開けると、いつも通り凜がそこに居て・・・


・・・いつも通り、では・・・ないか。



「・・・凜、誕生日おめでとう」


俺たちに視線を向けた凜が、優しい笑みを浮かべる。



「おつかれ、さま。・・・ありがと、みんな」



・・・来る度に増えている気がする点滴は、恐らく気のせいではないだろう。


テーブルの上にノートが無いのも、ペンが無いのも。


起き上がって話すのが精一杯な状態になっていることに、俺は気付かないフリをする。



・・・凜は、それを望んでいると思うから。