「愛されなかったお前に愛される誰かが、幸せになれるわけがない」




・・・俺に笑いかけてくれない両親。


遊んでくれたことのない両親。


俺がどんなに苦しんでいても、その目は面倒さと同情の色を映すばかりだった。


授業参観は、蒼と昂生の親に手を振った。


両親への作文は叔母に向けて書いた。





『きぃくん、また絵描いてっ』


『きぃくん、おきてる?おはよっ』


『きぃくん、すき』



凜の笑顔。凜の声。凜の手の温もり。


・・・それを、俺は本当に・・・見て、聴いて、感じてもいいのだろうか。



俺は愛を知らない。


他人に愛されるなんておろか、肉親にすら愛されなかった。


そんな俺が、彼女に対して愛情を抱くことは許されるのだろうか。



色んな思いが頭を飛び交うなか、徐々に激しさを増す雨の音が、荒ぶる俺の心を更に掻き立てる。