俺たちは他愛のない会話を続け、9時になる頃には作ったスープを食べさせて、凜はしっかり自分で薬を飲んでいた。


俺が様子を見る限り、だいぶ辛そうな気はするけれど、凜は全く寝てくれない。

布団の中で子猫みたいに体を丸めて埋まってる。


「・・・ね、きぃくん・・・?」

「ん?」

「わたし、いつおとうさんにあえるのかな・・・」


凜が、消えそうな声で呟いた。

その一言が、俺の心に重くのしかかる。


『わたし いつ死ぬのかな』


って・・・凜が、死に・・・怯えているような気がした。

亡くなった父親に会えるから死ぬのは怖くない。そう言ったあの日の凜とは全く違う。


俺には・・・わかんないよ。

わかりたくも、ない。

父親になんか、会わなくていいから・・・生きて、って、俺は言いたい。


そんな自分の言葉は奥底に閉まって、かけるべき言葉を必死に探した。

脳内を駆け巡るそれらは、どれも凜にかけられる言葉ではないような気がしてならない。



「・・・凜」

「・・・いやだなぁ・・・っ」



喉から絞り出したような、小さくも悲痛な声が響き渡った。