俺は凜と色んな話をした。
妃菜との思い出をきいて思うのは、昔から変わらない二人なんだなってことだし、逆に蒼たちの話をしても、俺たちも変わってないな・・・って思わされる。
俺は二人に、本当に支えられていたと思う。
高校三年生になってからは、凜や妃菜にも。
俺が昔まで望んでいた "平凡な生活" とは掛け離れた気がするけど、これはこれで幸せだ。
・・・今の方が、幸せ。
「きぃくんとの時間は大切なんだよ」
「そう?」
「うん。だから今日来てくれたのも、妃菜の頼みでもすごくうれしいもん」
「ん・・・居るだけだけどな」
「居るだけでうれしい」
・・・凜の言葉はいつだって真っ直ぐで、ひねくれた俺の心に大きな衝撃を与える。
凜は俺のおかげで、ってよく言うけど、それは間違ってると思う。
凜は自分で、自分の力で生き抜いている。
あの日、もし俺と出会わなかったら、凜は本当に人を恐れたままだったのだろうか。
俺じゃなくても、きっと妃菜のサポートを受けてクラスの人達と楽しく過ごせていたんじゃないか。
そんなことを考えたとき、俺はどうしようもなく切ない気持ちに呑まれていく。
・・・それは、俺が凜と出会えて良かったと思うから。
妃菜と出会えて良かったと思うから。
俺は今が幸せ。

