「だって、そうだろ? 今だって……2人は…………」

「それは違う」

「いいんだ、俺はどうせ結局、1人なんだよ」

建物から飛び出して走る。

自分に注がれる他人の視線なんかどうでも良いと思いながら、ひたすら走る。

風が目に入って乾燥させて、それのせいで涙が出る。

いや、本当は風のせいじゃない、ただ俺がそれのせいにしているだけで……。

とにかく、涙が出てきては落ちていく。

閑静な住宅街に、自分の足音が響いて、ようやくそ」は止まった。

自然と辿り着いたのは、アンティーク店だった。






「いらっしゃいませ、おお、レオくんじゃないか」

店長の顔を見ると、それは心ほぐして一気に涙は溢れてきて大粒の雫が床に落ちていく。

「おお、どうしたんじゃ」

店長は、俺の肩をふっくらとした手で包む。

「店長……俺、本当に1人になるかもしれません」

「………とりあえず、奥の部屋にって座りなさい」

店長の言う通りに店の奥に来ると、そこにある椅子の1つに腰かけた。

なんでろう、ここは騒ぐ心を落ち着けてくれる。

この建物の木の温もり、ノスタルジックな品々、そして冬の暖炉のような店長の心。