アンティーク


それなのに、そんな私よりも将生さんの方が辛そうな顔をしていた。

「将生……さん?」

将生さんの目からは、雫がこぼれ落ちる。

どうして彼の目から涙が落ちていくのか、分からない。

悲しいのは、きっと私の方なのに。

「ごめん……」

彼は、その涙を手で拭く。

「妹に……同じようなことを言われたことがあって…………。妹は、学校でも外でもその見た目を俺と比較されるのが嫌だった。お兄さんは奇麗なのに……って。俺はそれを言われるまで気が付かなかった。ただ生きているだけで、妹を傷付けていたんだ。その頃から、俺は人が苦手になった。特に女性が……。俺たちといることで玲奈さんが劣等感を感じてしまうなら、俺はもう、何も言えない。俺は、存在しているだけで人を傷付けてしまう」

「そんなこと、ないです。きっと、将生さんを見て元気を貰えている人はたくんさんいます」

将生さんは、そのことには何も返事をしなかった。

そして、ようやく口を開く。

「レオには、俺が言っておくから。もう、俺たちのことは気にしないで」

将生さんは私の方に背中を向けて歩いていく。

その距離は、どんどんと離れていき、それが長くなっていくほどに私の心は比例して涙を流す。