アンティーク


「迷子?」

「あ、その……ごめんなさいっ」

ちらっと彼の顔を見て、その場から走って逃げる。

「あ、ちょっと待てよ」

私が逃げるからか、彼は追ってくる。

こんなことしたら、余計目立ってしまってまたあの人が私の元に来てしまう。

目に入ってきた女子トイレのマークに私は一安心し、そこに逃げ込んだ。

そこにいたのは何分だろうか、10分、いや、20分……。

戸を開けて誰もいないのを確認してから、トイレからようやく出る。

ふうっと1つ溜息をついて外に出ようとしたけれど、初めてここにきたせいで、今いる場所がどこかなのか全く分からない。

とりあえず歩いていると、校舎の地図が目に入ってきた。

そこに駆け寄り、今いる場所を確認してすぐに外に出る。

「はあ」

安堵のため息なのか、不安の混じったため息なのか、自分にですらそのため息の意味が分からなかった。

とにかく、将生さんとレオさんから逃げるのに必死だった。

逃げ切れた、そう思っていたのに。

「捕まえた」

急に手首を掴まれた驚きで、悲鳴を出しそうになる。