「なんなのよあの人」
あの人が立ち去った後、ありさは手に持っていた飲み物を一気飲みすると、その殻をテーブルに叩きつける。
とは言っても紙コップだから、逆にそれのほうが形を変えてしまう。
「考えれば分かるよね。あんなにかっこいい2人だもん」
「そんなことない。玲奈だって2人に負けないくらい可愛いよ」
お世辞だと分かっていても、ありさの言葉は私を救ってくれる。
「ありがとう」
ありさが買ってきてくれた飲み物を、ようやく飲んだ。
それは、甘酸っぱくて、「これが恋の味なのかな……」となぜか思ってしまう。
「それより、どうやって2人と会ったの? 実は私も気になってて」
「たまたま行ったアンティーク店で働いてたの、レオさんが」
「そうなんだ。想像つくかも」
「それで、なんかいろいろあって……。この前3人で一緒に美術館行ったりして」
「ええ、そうなの。誰かにその姿見られたのかな」
「とにかく、もう、会うのはやめる」
「……それでいいの? って言いたいけど、難しいね。2人が目立つだけあって」
結局私は、いつでも同じところをぐるぐると回っていることしかできない人間だった。



