アンティーク


大学でありさと昼食の約束をしていた私は、人が学食からいなくなる13時にそこに行く。

「え、玲奈。それ、どうしたの?」

「え?」

ありさが指さしているのは私のヴァイオリンで、背負っているそれを下ろしてみると、そこにはオレンジ色の絵の具のようなものが黒いケースにべったりと付いていた。

「なにこれ……」

「玲奈、最近何か変わったことは?」

変わったことなんて、1つしか思い浮かばない。

それは、2人と出会ったこと。

そして、2人と美術館に行ったこと。

「美術学部のレオくんと将生さんと、話すようになったこと、かな?」

「その2人って、1人がハーフでもう1人がちょっと怖そうなイケメンの人?」

その特徴は、ぴったりあの2人に当てはまっていた。

そうだよね、あんなに綺麗な顔をした2人だもん、知っている人は多いはず。

知らないのは、きっと人が怖い私みたいな人だけ……。

「うん……」

「それ、絶対その人たちのこと好きな美術学部の人がやった嫌がらせだよ……」

「そう、だよね」

やっぱり、私みたいな地味な人間が近づいていい人たちじゃなかった。

初めから住む世界が違って、私はきっと幸せな夢を見ていたんだ。