アンティーク


「課題、やろうか」

水曜日はだいたい、この流れだった。

朝の授業を終えて、今日の残りの時間は作品作りに取り掛かる。

「そうだな」

来週提出の課題は、漆塗りのデザインを考える。

テーマは「好きなもの」だ。

具体的に表すよりも、抽象的に表現するほうが得意な自分は今回の作品作りにはいつもよりも力を入れている。

好きなもの……好きな…………人。

その言葉で思い浮かんだ顔に、気づかないふりをする。

自分の気持ちに蓋をして、玲奈さんの恋路を邪魔しないようにしなければいけない。

自分にできることは、それだけだから。

それに将生だってきっと、気になっているはずだ、玲奈さんのことを……。

そう思うとつい将生のことが気になってしまい、ちらっとそっちを見る。

すると、将生は俺の視線に気付く。

「じゃあ、俺、こっちの部屋で課題するわ」

将生の態度は、いつもと変わらない。

「うん、じゃあ、またあとで」