アンティーク

「レオ、またあの子と帰ってきたの?」

大学に帰るなり、将生はその俺たちの姿を見ていたにもかかわらず、おそらく直観であろうか、そんなことを言われた。

将生は、紙パックの牛乳を飲んでいた。

「玲奈さんのこと?たまたま変える時間が一緒になったから」

「ふーん、そう」

そう言うと、将生はテーブルの上に置いてあるサンドウィッチを食べ始める。

もしゃもしゃと食べる姿は、まるで草食動物のように見えてくる。

牛乳とサンドウィッチという朝食のようなメニューを夜に食べる将生を見て、もう朝はとっくに過ぎたのに、と少しだけ笑ってしまった。

「なに?あの子のことでも思い出してるの?」

と、面白くなさそうな顔をして言う将生は、まるでそこら辺を歩いている小学生の子どものように見える。

「いや、将生が朝食みたいな組み合わせの夜ご飯食べてるから、なんかついね」

よくよくそのサンドウィッチを見ていると、食パンに挟まれたトマトやレタスが、やけに美味しそうに見えた。

そして、まだ口をつけていない卵サンドにカツサンドのそれが、俺の食欲を誘う。

袋を見ると、それは将生が行きつけのサンドウィッチ専門店のものだった。

「食べたい?」

俺の顔を見た将生は、心を読んだかのようにそう聞いてくる。

「いいの?」

「いいよ、お腹空いてるだろうし。ほら」

と、まだ開けていない卵のサンドウィッチを渡してきた。