「なあ、レオ。どうしたんだよ?」
「ごめん」
外に出て少し歩いた時、将生に歩くのを止められた。
それは予想していたことで、俺はなにも抵抗することなく将生の話すのを聞く。
「さっきから変だぞ」
その通りだ。
「将生はさ……あの2人見てどう思った? 俺、2人の間には入れないって思ったよ。なんていうか、絆っていうのかな、そんなのを感じたんだ」
「そりゃ、俺はよく分かんないけど、伴奏とソリストってそんなもんじゃねえの? お互いに無関心じゃ無理だろ。1つのものを2人で作り上げるんだから」
「分かる、分かるよ。でも、それ以上のものを感じたんだよ……、特に演奏が終わった後の2人の視線に」
あの時の光景が、また頭の中で蘇る。
「それは…………」
将生もきっとそれを見ていたんだろう、俺の言葉に返す言葉が見つからないようだった。
「好きだけじゃ、きっとダメなんだ」
「そんなことない」
将生は否定してくれるけれど、それなら僕があんな満足で楽しそうな表情を彼女に作らせてあげることが出来るのか、それはきっと無理だ。
もしこの先、彼女にスランプが来た時に支えてあげられるだろうか。
何も分からない俺が。
「レオ、ちょっと頭冷やせよ」
「うん、そうだね」
冷静になった時、俺は何を思うんだろうか。



