アンティーク


次の日、授業が終わった後、いつものように練習室に行った。

まだ、翼くんは授業があって来ていない。

先に、基礎練習を済ませおく。

今日、なによりも重要なことは、彼の告白を断ること。

コンクールの前にそんなことをするのはどうかと昨日何度も何度も考えて、だけどこの中途半端な気持ちのままそれに望むことの方がふさわしくないと考えた。

だから、今日はっきり言う。





数十分すると、授業を終えた翼くんが練習室に来た。

一気に、緊張が高まる。

「お疲れ」

扉を開けてその言葉を言いながら、部屋に入ってくる。

「お疲れさまです…………翼くん、先に話したいことがあるの」

彼は私の顔を見た。

多分、それだけで私が言いたいことを全て読み取ったんだと思う。

「うん……。なにかな?」

「私、やっぱり翼くんの恋人にはなれないです。でも、友達として側にいることは出来る。だから…………それじゃあだめですか?」

翼くんは、私が想像したのとは違う反応を見せた。

彼は、ふっと笑って私の顔を見る。

「うん、分かってた。本当は全部分かってたんだ。玲奈にとって工藤レオがどんなに大切な存在なのか。それでも僕は君が欲しかった。でも、もう諦めるよ。その代わり、玲奈の言った友達として側にいてもいいかな?」

「それはもちろん。ぜひ友達になってください。…………あと、こんなこと言うのはあれだけど、レオくんはきっと、他に好きな人がいるので……ただの私の片思いです」

「え?」

また、翼くんは私の予想とは違う反応をするから、私もつい彼の言葉をオウム返ししてしまう。

「え?」