藍と大河は村を歩き、村松かけるについて聞き込みを始めた。村人は三十人ほどしかいないため、一日で全員から話を聞くことができる。しかしーーー。

「村松さん？ああ、最近体重が六十キロを超えてしまったことを悩んでいたよ」

「あの人が作る野菜はおいしかったね〜」

事件につながるような暗い話はなく、明るい話を村人たちは藍と大河に聞かせた。大河はどこか残念そうにし、藍は平和な話しかないことに半分ホッとしていた。

「……なんか、全然平和ですね」

「ええ。どうして村松さんが殺されなければならなかったのか、とても不思議だわ」

そう言いながら二人が歩いていると、「藍ちゃん？」と声をかけられる。振り向くと、厚化粧をして派手な服を着た福山美里がいた。

「えっと、お知り合いですか？」

大河は、別人のように化粧をした福山美里を見て首を傾げる。誰かわかっていないのだ。藍が名前を言うと「えっ！？」と驚く。

「あなた、前に藍ちゃんと来ていた……」