「好きだよ、まゆり」

「ま、真由理くんは古市マユリのどこが好きなんですか?一緒の名前だから?」

「………いや。

あの俺、昔バレーやってたんス。辰己さんと同じっスね」

「え……」

「でも中三のとき膝を壊して、それまでみたいにスポーツできないってなって……まあ、へこんだんスね」


ちっともへこんだように見えない様子で、真由理くんは平然と話す。

ただその内側には複雑な感情があるのかもしれない。


「そんなときテレビでシュースタの特番してて、姉が見てたんス。その内容が、古市マユリはデビュー前に足を怪我して、今までみたいにダンスできないっていわれた……ってやつで……」


いつもより饒舌な真由理くん曰く

ダンスができないと言われたマユリは、当時デビューが決まっていたシュースタのメンバーから外すと宣告されたらしい。

だが治療とリハビリに励み、さらにその頃実力不足を指摘されていた歌唱力をあげることにも心血を注いだ。

結果、怪我は完治したが完全に戻れず、ダンスは他のメンバーよりやや劣るらしい。



「努力して、努力して、無理だって言われたデビューを果たした。それもダンスの不足を補うため、それまで苦手だった他の分野を磨きあげて。

なんかそのマユリの姿に、自分が重なったっつーか。俺もバレーはできなくても、他のことを磨くことはできるんじゃないかって勇気づけられたっていうか……」

「……」

「でもまあ、マユリからしてみれば別に俺のためでも何でもないっスよね。そんなの知るわけないし。マユリは自分のために努力しただけで」

「身も蓋もないね……」