『うわ…綺麗…』
式場到着。
そこには、なんとも言えない美しい光景が広がっている。
隅々まで手入れの行き届いた庭には、花畑のように花が咲き乱れ、大きな噴水が、その空間を引き立てていた。
『楽園みたい…』
「ピンポン♪この式場のテーマは楽園。
結婚式は人生最大のイベントだから、一番美しい思い出になるように、ってさ」
すごい…あたしも結婚式はここで挙げたいな…
なーんてね♪
「こっちこっち」
竜也の案内で、裏口から式場に侵入。
「りゅ、竜也様!?」
「あ。」
が、早速バレた。
従業員っぽい服を着た女性が、竜也に駆け寄った。
「どうかなされましたか!?
竜也様がこちらにいらっしゃるなんて…」
うわ、堅苦し…
あ、竜也はお坊っちゃまだもんね。
……あたし、もしかして超無礼者?
「別にどーもしてない。
今日ここで結婚式を挙げる花嫁に会いに来た。
どこ?」
「は、花嫁ですか?控え室でご家族とお話されてますが…」
「さんきゅ。行こ」
『あ、うん』
竜也に腕を引かれ、その場を後にした。
従業員さん、なんか言ってたけど。
『ねぇ、竜也』
「ん?」
『すっごく今更なんだけど、あたし超無礼者じゃない?』
「……すっごく今更だな」
あ、やっぱり?
「姫香、超無礼者だよ。だって俺、望月財閥の御曹司だもん」
『ですよねー』
あたしとは格の違う人間だもんね……
なんか…寂しいかも。
「…姫香、あの従業員見てどう思った?」
『え?…堅苦しいなって……』
「俺もそう思う。だから姫香はそのままでいてよ。
っつか最初に言ったろ?俺は【望月竜也】だ」
『……うん』
「………あのぉ…お取り込み中すみません…」


