……ちょっと待て?
確か、姫さんはなんか用事あるとかないとかで無理だったよな。
でも祐希は?
アイツは暇だろう!?
兄貴は100万取るつもりだから、コンテストには割り切って出るんだろう。
でも俺は?
巻き添えくらっただけだ。
ノリノリの莉央さんとも、賞金がほしい兄貴とも違う。
俺は急いで携帯を取り出すと、電話をかけた。
プルルルル……
“おかけになった電話番号は、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないため、繋がりません。”
虚しいアナウンスが流れた。
「アイツ…こんな朝早くから何やってんだよ……」
「あ、もしかしてゆっきーにかけた?」
モデルを代わってもらおうと、祐希にかけた電話も……あっさり空振った。
「かけましたけど」
「ゆっきー、今山奥だから多分出れないよ」
「…山奥?」
何故?
「初めはねぇ、ゆっきーにモデル頼んで、恭ちゃんに老婆やってもらおうかとも思ったんだけど……」
……老婆?俺、老婆になる予定だったの?
「翼っちがねぇ、“女装美人兄弟とか、アリじゃね?”って言ったから…急遽変更したんだ〜♪」
翼さん……いつか殺す。
「それにねぇ、女の子が足りないから、お助け部の誰かが女装しなきゃってなって。
翔たんは美形だからきっと美人になるよって話になったんだ。
それにきっと100万円に釣られてくれるだろうって☆」
なんだかんだで兄貴って、扱いやすいの…?もしかして。
「恭ちゃんにおいては…翔たんがついてきたら安心して何も聞かないだろうって大和っちが」
大和さん、怖い。
……どうしよう、兄貴。
俺、ここにきてキャラが崩壊しそうだよ。
こうして俺は。
【女装キャラ】という新たなステータスを手に入れたのだった。
使いたくないけど。


