「…何考えてんですか」
「大丈夫だってぇ〜」
どのあたりが?
「それにねぇ、翔たん。ファッションショーじゃなくて、コンテストだよぉ?」
軽く訂正。いや、俺としてはそんなのどっちでもいい。
兄貴がどんどん黒いオーラを出しはじめてる。
ここで莉央さんと全面対決とかなったら俺……確実に巻き添えくって死ぬ。うん。
「出ない」
一言で済ませる兄貴。まぁ…一応、大和さんには“気に入らなかったら参加しない”って許可もらってたし……
「賞金」
単語を呟く莉央さん。
一言で会話するの、やめない?
でも……兄貴を動かすには十分すぎる一言なの、これ。
「100万」
さらに追加されたその呟きは……完璧に兄貴の心を動かした。
「……俺、黒髪がいい」
「任せといてっ♪」
落ちたァァ……!
金の亡者め……
改めて…兄貴ってすごい性格してるなって思った今日この頃。
こうなったら、付き合うのが弟の運命なのだろか。
黒髪がいいって言ったはずの兄貴の手には、茶色い巻き髪のウィッグが握られていた。
………俺、茶髪?


