「……てなわけで。明治時代なのに運慶がいるわけよ。運慶はもうとっくの昔に死んでるはずなのにな?どーしてだと思う?」
本文を読み終えた翼が2人に問う。
『そりゃあ…この話が夏目漱石が見た夢だからなんでもありなんじゃないの?』
もっともな意見が出た。
「違うってもっとほら!伝えたいこととかさ!」
「夢でなら偉人にも会える!」
仁が自信満々に言った。
「それを伝えてどうすんだよ…」
翼はため息をついた。
コイツらどこまでボケでどこまでマジか?
いや…全部マジか。
ホントに根気いるな……
「だから運慶は今まで生きてたんだよ」
『すっげー!!』
「運慶かっけー!!」
「はい、範囲終わりな」
翼はパタリと教科書を閉じた。
「国語も面白いだろ?俺、一番好きなんだ」
『奥が深いんですねぇ』
「漱石すげぇよ!俺、尊敬しちゃう」
仁はもう一度教科書に目を落とした。
「いーか?勉強ってのは好奇心が大事だ。知りたいってゆー気持ちな。そしたら嫌でも頭に入るから…まずは勉強することを楽しめ!」
翼はそう言ってニコッと笑った。
「翼、先生っぽい!」
『説得力ある!!』
「えへ〜そっかぁ??」
気を良くした翼は、
「よし!お前らの努力に免じて唐揚げプラスしといてやる!!」
『「やった!」』
翼が出ていったあと、
『「ふっ、チョロいな」』
と2人がハイタッチしていたのは内緒。


