「はい、姫ちゃん」
『【経】営難が続く【世】の中だから、【済】んだことすら【民】族に……チクショー!!繋がんねぇ!!』
「無理しない無理しない」
頭を抱える姫香をなだめる仁。
「世を治め、民の苦しみを救うこと…なんだけどね?」
莉央が苦笑いで言った。
『「一番大事な【経済】の文字、入ってないじゃん!!」』
素晴らしくハモった二人。
「……次…いくね?」
『「ぜひ。」』
莉央は気づいた。
仁に頼まれるのは初めてじゃないんだけど……
高校に入って授業のレベルが上がって……
姫ちゃんとゆー仲間増やして……
これは……
手強いッッ!!!!
「3つの独占形成!
カルテル・トラスト・コンツェルン、日本語で?」
『え、つか問題の意味がわかんない』
「カルメン・トランペット・コンテスト?
なんか…どっかの国のトランペットの大会?」
『カルメン…スペインっぽくね?』
「あー、スペインっぽい!」
………。
コイツら勉強する気、あんの?
「……姫、やべぇ。莉央のブラックスイッチが入りかけてる…」
『ぶらっく……』
姫香はちらりと莉央を見た。
バキィッ…
……ペンがッ!!
ホワイトボード用のペンがァァ!!
ありえない方向に曲がっているゥゥ!!
莉央=極道=怒らせてはいけない人種。
……………。
『さぁ、仁くん。お勉強しましょ』
「いぇっさぁ!!」
そっと莉央の顔色をうかがうと……
「現代社会は暗記だけだから、覚えるだけだし大丈夫だよぉ♪」
満面の笑みを浮かべていた。
……セーフ…。


