「補習は放課後だし、お助け部は一般生徒の倍以上。準備、間に合わなくなるだろ?だから補習は許されないわけ」
『あ、あの…』
「ん?」
『もし補習組に入ったら?』
「罰ゲームだよ」
大和先輩がニコリと、それはそれは優しく温かい笑顔で言った。
こんな時に最上級の笑顔使わないでェェ!!
怖さ倍増!!
その罰ゲームの内容、聞きたくねェェ!!
『あたしぜぇったい無理です!!』
「なんとかなるって」
『んな無責任な!!どーせみんな頭いいんだろー!?さっき聞いたし!!』
みっちぃが【秀才の集まり】って!!
「若干1名…例外がいるんだけどな」
『へ?』
例外…?
大和先輩の視線を追うと………
「くか〜…」
ダイニングで、さっきの姫香と全く同じのシチュエーション。
ただ広げただけのノートと握っただけのシャーペン。
そのまま夢の世界へ旅立った少年。
『仁……』
もしや同類!?
起こそうかどうしようか迷っていると、やっと目覚めたらしい翔平がてこてこやってきた。
『あ、翔平おはよ』
「…はよ」
まだ眠いのか、寝癖のついた赤茶色の髪をボリボリ掻きながらあくびをしていた。
「ん?」
翔平が寝ている仁を見つけて……
ニヤリと笑ったのをあたしは見逃さなかったよ!!
そろりと仁に近づくと、側にあった教科書を手に取り筒状に丸める翔平。
それを仁の耳元にそっとあてて、すぅっと息を吸い込んだ。
「わっ!!」
「ぎゃあぁぁあぁあぁぁ!!!!」
当たり前だが、飛び起きる仁。
「おはよ♪」
「おはよ♪じゃねぇし!!何清々しい顔してんだよ!?もっと普通に起こせよ!!鼓膜破れるわ!!」
………やっぱ起こしてあげればよかったかな。


