『……怖いんですけどぉ!!』
22時、過ぎてます。
だだっ広い校舎にあたし一人。
『すっげー怖い!!っつか突き当たりを左にって……突き当たんないんですけどォォ!!』
どこまでーも続く、ながーい廊下。
突き当たりが見えない直線。
『もぉやだあ…』
ヤバイ、腰抜けそう……
あたしホントお化け屋敷とかダメなタイプなんだから!!
夜の学校って気持ち悪いくらい怖い……
しかも広すぎんだよ、ココォォ!!
カタン…
『うぎゃあぁあぁぁあぁあっ!!』
「ぉわ!うるせっ」
う、うるせ?
完璧に腰の抜けたあたしは、廊下に座り込んだまま恐る恐る振り向いた。
暗くてよく見えないけど、さっきの声的に多分、男の子が立ってる。
「こんな時間にこんなとこで何してんだ?」
あたしの目線に合わせるようにしゃがんで聞いてきた。
『それこっちのセリフ!!』
いきなりカタン…とか、このシチュエーションで出すんじゃねぇよぉ…
『お、お化けかと思った…』
あたしは心底安心して、ため息混じりに言った。
「お、お化け?!うそ!?どこ?!」
キョロキョロと辺りを警戒しながら見る男の子。
『や、あんただし…』
間違っただけだ、と伝える前に、勘違いした男の子が叫んだ。
「はっ?!俺…死んでる!?」
声が真剣だから、焦って続けた。
『違うっ!!いきなり!あなたが!出てきたから!私は!あなたを!お化けと!思いました!!以上っ!!』
あたしがそう叫ぶと、
「はじめっからそー言えよぉ。気づかねぇうちに死んだのかと…」
と、それも真剣な声で言った。
なんだコイツー!!
これは天然なのか!?


