その後、あたしはみっちぃと昔の話や世間話で盛り上がった。
『え?22時過ぎてんじゃん!!みっちぃ、帰んなくていいの?』
「あたしここ住んでるの」
あ、だから広いんだ。
よく見ればキッチンとか冷蔵庫とか……うわ!テレビもあるし!!
たぶん奥はバスルーム。
これほどの広さがあれば十分住めるよね。なんか家電も揃ってるし。
『あたしは…?』
まだ寮に案内されてない。
部屋、空っぽだったから…あたしの荷物がここにあるのは確か。
今日は理事長室に泊まっていいのかな?とか思ってたけど、あたしの荷物はなさそうだし……
「あんたもうすぐオーディションでしょ?」
『はっ?!今日なの!?』
時計をチラッと見て、涼しい顔で言うみっちぃ。
聞いてないんですけどォォ!!!!
「当たり前じゃない。受かんないと、あんた家ないでしょ?」
いやいやいや!!
泊めてくれてもいいじゃん!!
あたし、あなたの可愛い姪っ子なんですけどォォ!?
え…ってか何?この流れでいくと……落ちたら野宿!?
無理無理無理ッ!!
あたし家族に解散って伝えられた人ほど強くないしっ!!
こりゃ落ちらんないな…
あー…マジどうしよ…
「あ、帰ってきたみたいだね」
みっちぃが窓の外を眺めて呟いた。
『か、帰って?』
「あ、その寄付してくれてるお方の息子、うちの生徒なんだよ。姫香と同い年の」
『じゃオーディションって…』
「その子が審査員」


