『失礼しまーす』
「あ、いらっしゃい♪」
なんとかたどり着き、制服に着替え、いざ理事長室へ。
理事長は…
「遅かったねぇ。迷った?この学校無駄に広いからねぇ……
あぁ、最初に言っとくけど、ここには金持ちってあんまりいないからね?
玉の輿は狙えないんだよねぇ。
見栄えは立派なんだけど、ほとんど寄付金でつくった学校だから、公立高校と料金かわんないし。
緊張しないで気楽にいこーね〜」
美人でよく喋る、サバサバした人だった。
心なしかお母さんにタイプが似てる気がする。
ってか寄付で出来てるとかスゲェな…
ますますこんなとこ通っていいんスか??
一人あたふたしていると、
「あら?姫香、覚えてない??」
『え?えーと…?』
ニコリと笑う優しそうな目に、なんとなく見覚えが。
「小さい頃よく遊びに行ってたんだけどな…」
『……あー!!みっちぃ!!』
「ぴ〜んぽ〜ん♪」
思い出したあっ!!!
みっちぃとは。
あたしのお母さんのお姉さんで、あたしの叔母。
昔からおばさんって呼ぶと半殺しにされるので、みっちぃって呼んでる。
そりゃお母さんに似てるよ!姉妹だもん。
『みっちぃ理事長やってんの?』
教師やってるって話は聞いたことがある。
でもまさか理事長になってたなんて……
出世街道まっしぐら〜みたいな?
「そーなの。可愛い姪っ子のために転校枠つくったんだから、感謝するのよ?」
『ありがとー!!』
お母さんが安心してあたしを置いてったの、納得だ。
みっちぃがいるんなら何とかなるかな♪
「と、言いたいとこなんだけど。」
『え?』
せっかく安心しかけたのに……
しかも、次に出たみっちぃの言葉に…あたしは耳を疑った。
「オーディション受かんなきゃ」
『は?』
オーディション?
転校に??


