自宅に一緒に行っていいの?と問いかけておきながら
彼の返答を待つことなく、行く!と宣言したあたし
夢かもしれないと思う自分には
もう戻れない
戻りたくない
そう思って彼を見つめたあたしに
「ダメだろ。3月31日までは俺は高島先生の同僚だからな。卒業するまでは手、出せないからな。」
入江先生は即答。
しかも、涼しげな顔で。
『そんなァ・・もう生徒じゃないのに・・・禁断の恋とかじゃないのに・・・手、出して欲しいのに・・・』
「4月以降もその言葉、覚えておいてくれよ?」
『絶対に忘れません。あと数日が待ち遠しい・・ダメ?ダメ?ダメですか?』
色気も節操もナシなあたしに
入江先生は珍しく本当におかしそうに笑った。
「いくら理系クラスで野獣共を相手にしているからってサカるなっ!!!!!!っていうか、俺も引き摺られるだろ?」
『引き摺られちゃえ!!!!!』
「俺、ちょっと早まった・・か?」
『そんなこと言わないのっ!だって入江先生は・・・』
「ん?」
さっきまでおかしそうに笑ってた入江先生が
言葉の続きをわざともったいぶったあたしの様子を伺うような優しい笑みを浮かべた。
あたしのココロを溶かす
その甘い笑み
指から伝わる甘いしびれ
「・・・茜?」
まだちょっとぎこちなくあたしの名を呼ぶ甘くて低い声
それらすべては
『あたしのモノ♪』
高島茜 確か27才?
長年叶わないと思い続けた入江先生の片想い
とうとう卒業します
そして近々ずっとダイスキだった入江先生と結婚して
『佑也さんと一緒に入江茜になります♪』
「やっぱり俺、早まったか?」
『・・・そんなァ。』
「ほら凹むな。入江茜・・・帰るぞ。ウチに。」
『・・・はい♪』
念願の入江茜になる予定です。
転任先の湖西北陵高校の女子高生の皆さん
ついでに女性教員の皆さん
もっとついでに生徒のお母様方
あたしの長年の片想いがようやく成就した相手の
ウチのダンナ様(まだ未公認)には
くれぐれも手を出さないで下さい。
あたしに最初で最後の恋を教えてくれるのは
彼しかいませんから!
ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋の行方 【完結】



