嘘つき



帰り道、わたしは一駅先だったので歩いて帰るというと、翔くんは送るよといった。

大丈夫といってもついてくる様子で結局二人で歩いた。

「・・」

途中、手を繋がれた。

それを拒めない自分がいて、ただ自分からは握り返すことはなくそのまま歩いた。

気まずさが流れる中、歩道を歩くわたしたちの横を車が何台も通り過ぎていった。


「送ってくれてありがとうございました」

「こっちこそ、会ってくれてありがとな」


部屋に戻ると一気に疲労感がたまった。

しばらく、考えた。

まわりには結構前からちょっと危ないと言われていた。
やめたほうがいいと。

自分でもそれはわかってる。

翔くんはちょっとちゃらい感じ。

それに価値観はまるで合わなくて、お店で話していたときと全く違うということがわかった。

結局、わたしも上辺しかみてなかったんだ。

きっと翔くんがわたしのことを勘違いしているように、わたしも翔くんのことで勘違いしていることが多いと思う。

それを見抜くことが、できなかった。