嘘つき



「今日はありがと」

「いえ」

適当に居酒屋さんに入った。


「理沙、本当にごめん」

「謝らないでください。別に気にしてないですから」

「実は、嘘、なんだ」

「・・嘘?」

「そう、彼女ができたって」

「・・・は?」


なにをいっているのか一瞬理解ができなかった。


「俺さ、結構いろんな人から言い寄られてて。それを一回リセットしたくて、それで連絡取り合ってた女の人全員にそう送ったんだ」

「・・・」

「こんなこといっても、信じてもらえないかもれしれないけど、俺は本気で理沙のこと好きだよ」


そんな、いまさら、遅い。

正直、自分でもわからなくなってる。

好きだったから簡単に嫌いになれるはずなんてなかったけれど、でも今までいろいろあったし、翔くんの性格もなんとなくわかってきて。


「少し、時間をください」


自分の中で答えは決まっていたはずなのに、その場ではいえなくてそう濁した。