社長の溺愛にとかされて

その時、俺は「そうだな」って言って、彼女は項垂れていた。

高校生にはあまりにも大きな問題。

「でも、周りの人の話しを聞くのは大事だが、
 『自分が一番行きたい道、自分が一番後悔しない道』を行くのが、
 一番いいんじゃないかって」

その言葉にはっとなる。

「俺も高校生だったから、事の大きさを考えず、
 自分の思った事を言っただけだった、

 でも、それから、高校を辞めこのホテルを守り続ける彼女を見て、
 大きな決断をする時は、自分のあの言葉を、自分に言い聞かす、
 
 『自分が一番行きたい道、自分が一番後悔しない道』かって、

 会社を立ち上げた時も、上場会社にするって決めた時も、
 大きな事を決める時はこのホテルに来るんだ、
 すると、大きな事って尻込みしていた事も、なんでもできる気分になる」

慎也の顔を見て、自分を振り返る。
私はどうだろう、何となくやりたい事をして、流されて・・・

『自分が一番後悔しない道』

その言葉が自分の中でエコーした。