社長の溺愛にとかされて

「いや、父親のホテルは順調で、ほぼ借金も返し終わって、
 経済的には困ってないよ」

なのに高校を中退したの?

「どうゆう事?」

「買収の話あったって言っただろう、
 父親が亡くなったのは、彼女が高校2年の時で、
 母親はホテルには関わっていなくて、ホテルを手放す話が出てたんだ」

母親が経営を無理で、娘が高校生なら、仕方がないかなと思う。

「あの時の事は忘れなれないな・・・」

そう言って、慎也がワインを飲む。

「白鳥に、相談があるって言われて、河原の土手に行って、
 2人並んで座って、話しをしたんだ」

「うん」

「ホテルの買収の話がある、ホテルを売ってしまえば、
 億単位のお金が入って、母親も自分も悠々自適に過ごして、
 結婚して、子育てするだけでいい生活が待っている。

 父親のホテルを自分が引き継げば、ホテルを駄目にしてしまって、
 全てを失うかもしれない。

 それでも、私が父親のホテルを、私が守りたいと思うのは我儘かなって」