社長の溺愛にとかされて

「藤澤様はハムが好きとお伺いしております、
 もしよろしければ、本場スペインのイベリコ豚がございます、
 前菜をそちらに変更させて頂きますが」

「え!?どんぐり食べて育った豚ですか?」

あまりにも魅力的な提案に、ついつい声が大きくなってしまい、
あわてて声を小さくする。

「そうです、とても柔らかくて、溶けるようだと評判です」

「慎也、食べたい!」

「じゃあ、それでお願いするよ」

私のテンションが一気に上がったのに気づいたのだろう、
慎也が楽しそうに、白鳥さんに頼む。

しかし、頼んでからふと思う、
そんな無茶をしていいのだろうか?
この女性が経営者だから?それとも慎也の知り合いだから?

どうしても気になり、声をかける。

「あ・・あの・・・・・でも、いいのですか?」

返事をしたのは、意外な事に慎也だった。

「アレルギーや宗教の関係で食べれない物など、
 このホテルは細かく対応してくれる、
 好きな物や嫌いな物も、あらかじめ伝えておくと、
 こうやって用意してくれたりするんだ」

なるほど、サービスも一流と言う事か。