社長の溺愛にとかされて

アルシェンヌに着き、タクシーを降りる。

アルシェンヌの玄関の前は小さな西洋風の庭になっていて、
低木が幾何学模様を描き、シンメトリーな美しさを醸し出している。

女神の像がある小さな噴水まであり、
流れるゆく水がライトアップされ、幻想的な空間を作り出していた。

玄関へ行くと、制服を着て、帽子を被ったドアマンがいて、
「ようこそ、いらっしゃいました」と丁寧に玄関の戸を開けてくれる。

外見はどこにでもあるホテルに見えたのに、
一歩踏み入れると、そこは別空間、
ヨーロッパに来たのではないかと勘違いしそうな空間が広がっている。

歴史を感じる重厚さを感じつつ、
まったく嫌な古くささを感じない、不思議な空間。

中央には大きなシャンデリアがかかっており、
眩い光を放っていた。

目に入るホテルにいる人も、お金持ちそうだったり、
大物のムードを放っている。

やっぱり、凄いホテルなんだと、認識を新たにしつつ、
エレベータに乗り込み、17階のレストランを目指す。

エレベーターも静かで、内装も凝っている、
オフィスのエレベーターとはあまりにも違う、
静かに高速で上昇するエレベーターに驚きつつ、レストランに向かった。