社長の溺愛にとかされて

「ごめん、今日のは全部演技なんだ」

その言葉に、自分の目に光が宿ったのが分かる。

「演技?」

「ああ、ちゃんと説明する、聞いて欲しい」

黙って、慎也の胸で頷く。

「彼女は仕事関係の取引先の、社長令嬢なんだ、
 本当に好きな人がいるが、父親に反対される事が分かっていて、
 本当の事が言えない、

 でも父親は、彼女を早く結婚させようと、お見合いを勧めてくる、
 今までかわしてきたが、相手が大物で断りづらいくなっていた、
 そこで、社長の肩書を持つ俺が、代わりに会って、時間を稼いでいたんだ」

黙って聞いていた私は慎也の左手を見た、
慎也の左手には、指輪が輝いていた。

「どうして、慎也がそこまで・・・・」

かすれた声でやっとそれだけを言う。