社長の溺愛にとかされて

いつまでそうしていたんだろう、
手のひらの指輪を眺めていると、何が本当で、何が嘘で、
何が現実で、何が幻が分からない。

ただ、苦しくて、そのままパタンと横になった。

目を閉じ、指輪をぎゅっと握りしめる。

この先どうするんだろう、慎也に今日見ていた事を言って、
問い詰める?

それとも、何も見てない事にする?

それとも、いきなり私から慎也に別れを告げる?

全てが非現実的で、頭の中を黒い思いが駆け巡る。

相手の女性が誰でも、もうどうでも良かった、
大事なのは、慎也が私以外の女性と会っていた、それだけ・・・

でも、心のどこかで、私の事を好きになってくれた時の、
慎也の言葉が思い浮かぶ。

苦しくて、体は強張るけど、
それでもどこか慎也を信じたい気持ちは確かにある。

理由なない、説明はできない、でも、どうしても信じたい、
今までの慎也の言葉が嘘だけだと思いたくない。