社長の溺愛にとかされて

家に帰った私は、
ふらふらと、机の右側の引き出しを開ける。

すると透明のクリアファイルに、いつでも見えるように置いていた、
アルシェンヌでもらった婚姻届がでてくる。

いつもこれを見るだけで、心が落ち着いていた、
でも今はまったく心が落ち着かない。

全部終わったんだ・・・

全部夢で・・・

全部幻で・・・

そう言って、左の薬指を見る。

慎也の左手にはもうなかった指輪。

私もゆっくりと、指輪をはずし、手のひらで眺める。