食事まで時間があるからと、街の中を少しドライブし、
慎也が予約しておいてくれた、レストランに向かった。

入口は、狛犬かシーザーのような石の彫刻が出迎えてくれる、
看板からすると、どうやら中華料理屋らしい。

少し中に入ると、中ぐらいの水槽が6つあり、
いろんな種類の魚や、足を縛られたカニなど、
豊富な種類の生き物が水槽に入れられている。

おそらくオーダーを受けてからさばくのだろう、
新鮮さは間違いない。

そのまま奥に進むと、床には赤の絨毯がひかれていて、
ふわふわしていて、とても踏み心地が良い、

さりげなく置かれた家具も、中国風の家具でまとめてあり、
どことなく高級な雰囲気が漂っている。

笑顔のない、きびきびした女性スタッフに、席に案内され、
座った席のテーブルは丸く、回転する本格的な物だった。

「なんか本場って感じ」

「中国人の料理人が作ってて、本格的な味らしいよ」

「楽しみだね」

メニューをみて、漢字ばかりなのに、少し驚きつつ、
小さく商品説明が書かれているのを読みながら5品オーダーした。

「お疲れ」

「お疲れ様です」

職場から離れると、話し方もくだけるせいか、
慎也との距離がぐっと近づく感じがする。

店員が「茉莉花(まりか)でございます」とお茶を入れてくれた、
どうやらサービスらしいが、聞いた事のない名前に戸惑う。

すると慎也がジャスミン茶の事だよと教えてくれて、
ほっとして口を付け一息ついた。