神様は天界の平和を守り、死者の魂を再び人間界へ送り届けることが仕事だ。また、生まれたばかりの天使たちの教育もしている。天使たちにとっては、上司でもあり父のような存在だ。

そんな神様は、マナに対して他の天使と同じように接する。マナはそれが不思議だった。

「マナ、君に頼みたい仕事があるんだ」

穏やかな笑みで神様は言う。マナは「何でしょうか?」と真剣な顔で言った。

「人間を癒しに行ってほしいんだ。最近の人間は疲れを溜めすぎている」

「……わかりました」

マナは神様から癒す人間のいる国の地図を受け取り、大広間を後にする。こんな仕事、向いていないと言いたかったが、神様は唯一マナを平等に扱ってくれる存在だ。マナは仕事を真面目にしようと決意する。

明日には人間界に行かなければならない。マナは家へと急いだ。



天使が人間界に旅立つ時は、神様や仲間の天使が見送ってくれる。しかし、人間界につながる鏡の前にマナが立った時、優しく見守ってくれていたのは神様だけ。これはいつものことなので、マナは傷ついたりはしない。

「必ず、任務を全うします」