天使、それは金色の美しい髪を持った白い肌の神の使いだと誰もが想像するだろう。しかし、例外も存在するのだ。

ここは天界。天使は神の使いとして死者を導いたり、人間界の様子を見たりする。

神の住む城までの道には、白い壁の美しい家々が立ち並んでいる。そこには死者や天使が住んでいるのだ。そして道端でお喋りをしていたり、仕事がない時には自由に過ごす。

その天使たちはみんな、美しい白い肌と金色の髪をしている。童話に出てきそうなほどの美しさだ。

そんな彼らの青い瞳が見つめているのは、白いフードを深くかぶった人物。否、一人の天使だ。

「どうしてあの天使様はフードを？」

死者の一人が天使に訊ねる。天使は「すぐにわかりますよ」と冷たい目をして言った。

ゴウッと突如強い風が起こる。その刹那、天使のフードが取れ、顔があらわになった。その顔を見て死者の誰もが驚き、天使たちは冷たい目を向ける。

その天使は、金色の髪や白い肌ではなかった。幼さの残るアジア系の顔立ちに、黒い髪の少女の姿をしている。