先輩と私と美術室




ざわざわと教室内が騒がしい。

それに加え、廊下には結構な人が教室内を覗いていた。


毎年恒例のことで先生も椅子に座って注意する気配もない。



そう、2回目の実行委員の集まり。
そこでチーム分けが行われる。

好きな人がいるならその人と一緒のチームになりたいだろうし、かっこいい先輩と一緒のチームになりたい!って人は結構な数いるだろう。


毎年箱の中に入っているカラーボールを3年から順に各クラスの実行委員が取り出し、その色でチームが決まる。



「どっちが引く?」

無関心の青木くんと私はどうでもいいみたいな感じで椅子に座り、3年が教卓でカラーボールを引いている様子を眺める。


「坂井引いていいよ」


「わかった」


3年が引き終わったみたいでひときわうるさくなった。


優斗先輩と柏木先輩が戻ってくる。


「ただいまー」

どかっと椅子に座り、背に寄りかかる優斗先輩。


「おかえりなさい…?何色になりました?」


「赤だよー」


じゃあ、ほとんどの人は赤狙ってくるかなぁなんて考える。


「次、2年生の代表前きてー!」


3年の実行委員長に呼ばれ、教卓の周りに集まる。


じゃんけんをして引く順番を決めるらしい。


あぁ、じゃんけん運ないんだよなぁ……。

廊下をちらりと見ると同じクラスの人と目が合って強い目線を送ってきた。


…ごめん、負ける気がする。

私の予想は当たり、じゃんけんは負け最後に引くことになった。

最後だから引く必要ないと思うんですけどね。



勝った人が緊張した顔で箱に手を入れる。
しばらくして手を引き抜いた。

手に持っているのは緑のボール。



同時にはぁ…という落胆ため息と安堵の声、それにやったという声も少し聞こえた。



次の人もまた引くと青のボール。
これもまた周りはさっきと同じ反応だった。



なんか緊張してきた。
別に引くわけでもないんだけれど…。


次の人が箱に手を入れる。
何故かどきどきして、ぎゅっと手を握った。



手を引き抜く。

手に持っているのは…


黄色のボール。



ということは…


一応形だけでも引いてくれる?と実行委員長に言われ、残ったボールを引いた。


「えっと、2年は1組が黄、2組が赤、3組が青、4組が緑でーす」



わぁっとまた騒がしくなる。

席に戻っていいよと言われ、戻る。



「同じチームだね」


斜め前の柏木先輩に笑ってそう言われ、私は「はい」と自然と笑顔で答えた。